差し押さえの対象

離婚協議書を、強制執行のできる公正証書(強制執行認諾の文言がある公正証書)で作成すべきことは、以前にも述べていますが、差し押さえに関して注意しなければならないことを書きます。

それは、「差し押さえの対象となる財産が明確であること」です。

債務名義である公正証書があれば安心、というのは、ひとまず正解ではありますが、一定の場合には、役立たずになることがありますので、気をつける必要があるのです。

差し押さえの手続きでは、差し押さえの対象になる財産を特定し、裁判所に提出する書類に書かなければなりません。

ということは、差し押さえの対象になる財産が分からない(特定できない)と、差し押さえを行うことができないことになります。

例えば、銀行の預金を対象の財産とするのであれば、どこの銀行に入っているのかを知らないと、差し押さえができません。

これを個人だけで調べるのは、極めて困難です。

口座があると思われる銀行へ行って、「差し押さえの手続きに必要だから、○○さんの口座があるか、教えてください。」と言っても、銀行は個人情報として保護するので、教えてくれません。
(預金の差し押さえでは、銀行名と支店名が分かれば可能なのですが、離婚後に別の銀行に移した、というケースもあるでしょう。)

その点、会社が支払う給与や賞与であれば、安心度は高くなります。

勤めている会社が分かっていれば、差し押さえの手続きを行うことが可能だからです。
(離婚後に転職していると、勤務している会社を突き止めることで、苦労するかもしれませんが。)

自動車や不動産も(相手が自営業であれば売上の債権も)、対象の財産となりますが、それぞれに別の困難があります。

残念なことですが、現在の日本の法律上の制度として、ごまかす人には対処できない場合がある、ということですね。
(このような実態を改善するには、国会議員に働いてもらわないと、変わりませんね。)

なお、法制審議会(法務大臣の諮問機関)の民事執行法部会がまとめた民事執行法改正案の中間試案には、差し押さえを容易にする新制度が盛り込まれたそうです。
(2017年9月9日の中日新聞に書かれていました。)

具体的には、養育費を受ける権利のある人に代わり、裁判所が金融機関や公的機関に預貯金や勤務先を照会、回答を得る制度だそうです。

これにより、金融機関の口座のある支店や残高、勤務先などを特定して、差し押さえをしやすくするとのことですが、実現するでしょうか。
(困っている人がいるのですから、実現してほしいですね。)

暴力を我慢しないで

日本の女性は欧州の女性と比べて、夫や恋人などのパートナーから受けた暴力を、隠す傾向が強いというアンケート調査の結果を、龍谷大学の教授らが、先日発表したそうです。
(インターネット上のニュースで見ました。)

その調査は、EUでの調査と比較され、日本の女性の傾向が分析されたそうです。

パートナーから暴力を受けたことがあるという回答は、EUよりも日本のほうが低い割合だったそうですが、その暴力を警察に通報した日本人は0%(0人)だったそうです。

この結果を皆さんは、どう思われますか?

配偶者からの暴力に困っている人は、少なくないと思いますが、このような日本の状況ですと、暴力を理由として離婚の手続きに踏み出す人の割合も、低いのかもしれませんね。

配偶者の暴力が当たり前になっているとしても、年がら年じゅう一緒にいるときに、常に暴力ではないのだと思います。

だから、改めてくれるのではとか、辛抱できる程度だとか、躊躇した状態になっているのでは、と思います。

離婚するしないにかかわらず、暴力は正当な行為ではありません。

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)があり、保護の制度も設けられています。

また、暴力を我慢せず、救済を求めることで、配偶者の暴力を客観的に判断できるようになることも、期待できると考えます。

さらに、警察や裁判所に暴力からの救済を求めたことが、婚姻を継続し難い重大な事由の証拠と認められることも、あるでしょう。

離婚の成立には時間がかかる

タレント夫婦の離婚問題が、いろいろにぎわしていますね。
(一方の方がヒートアップされていますね。)

このお二人に関する報道を見ていると、夫婦の不仲が心穏やかではいられない原因になるのだと、再認識します。

それは、とんでもない騒動になっているからではなく、夫婦だけでは制御できない状態になってしまう場合がある、ということです。

夫婦の問題だからと、最初は夫婦だけで解決を図るのは普通でしょうが、長引くと日常に支障を来す危険があると考えます。
(ちょっとしたことではなく、取り返しのつかない事件になることもあります。)

夫婦であることが苦しい、どうやっても解決策が見つからない、というような場合には、とりあえず離婚の手続きを進めることが、必要なのだと思います。

なぜなら、離婚の手続きは、時間がかかりますし、状況により途中で中止することも可能だからです。

夫婦だけで解決できないということは、協議離婚が無理ということですから、調停離婚の手続きに入る段階なのです。

また、日本の制度では、調停前置の原則があり、いきなり裁判で決着をつけることができません。

調停について、一般の方がなじみのない制度であることは理解できますが、離婚の成立までには時間がかかるので、躊躇している場合ではないと考えます。

苦しい方、本当に困っている方は、調停離婚の手続きを進めてください。