年金分割のための情報提供

離婚時の年金分割は、婚姻期間中の公的年金の加入状況が基となります。

ですから、結婚する前の独身であった期間や別の人との婚姻期間は、年金分割の対象とはなりません。

厚生年金の被保険者との結婚と同時に専業主婦になった人は、第3号被保険者期間のみですので、按分割合を0.5とするのであれば、分割対象である第2号被保険者の年金の状況を、確認する必要はないのかもしれませんが、年金分割のための情報提供という制度がありますので、ご承知ください。

年金分割のための情報提供は、日本年金機構の年金事務所に「年金分割のための情報提供請求書」を提出して、請求します。
(年金手帳や戸籍の謄本なども必要です。)

年金分割のための情報提供を利用すれば、分割の対象となる期間や標準報酬などが分かりますので、自分の記憶と異なっていたということがあるかもしれません。

なお、正式な婚姻手続きのない事実婚であった期間について、年金分割のための情報提供を請求する場合は、年金事務所に必要となる書類を確認してください。

また、年金分割のための情報提供自体(年金分割のための情報通知書)は、後日、年金事務所で受け取るか、郵送されるか、どちらかを選ぶことができます。

厚生年金基金の年金分割

厚生年金基金に加入したことのある配偶者からの年金分割(増額を受けること)は、単純に分けるということにはなりません。
(特殊というか、複雑な仕組みです。)

分割の仕組みの話の前に、厚生年金基金の給付の構成についてご説明します。

厚生年金基金の給付の構成

厚生年金基金に加入していない人の老齢厚生年金は、すべて国から支給されます。

厚生年金基金に加入していた人の老齢厚生年金は、国が支給する部分と厚生年金基金が支給する部分に分かれます。

このようになっているのは、国の厚生年金よりも厚い給付(プラスアルファ)を行うためです。

厚生年金基金が支給する部分は、本来国が支給する部分の一部を厚生年金基金が代行し、プラスアルファを加えているのです。

年金分割の対象となる年金

厚生年金基金の給付で年金分割の対象となるのは、国が支給する部分と厚生年金基金が代行する部分です。
(プラスアルファの部分は、対象にはなりません。)

また、分割された年金の原資(増額となる部分)は、国に移されます。

合意分割

合意分割を、もう少し詳しくご説明します。

年金分割では、婚姻期間中の標準報酬月額(月給)と標準賞与額(ボーナス)に再評価率を掛けた合計額が、分割の対象となります。(合計額のことを、ここでは標準報酬総額と表現することとします。)

分割の割合のことを按分割合といいますが、ここで注意したいのは、夫婦どちらか一方が最大で1/2になるという意味ではないことです。

分割の計算式は、以下のようになっています。

(夫の標準報酬総額+妻の標準報酬総額)×按分割合

ですので、按分割合を1/2とした場合の計算式は、

(夫の標準報酬総額+妻の標準報酬総額)×1/2

となります。

つまり、夫と妻の標準報酬総額を合計したものが、分割の対象となっているのです。

会社員である夫と専業主婦の場合

婚姻期間中、夫は国民年金の第2号被保険者、妻は第3号被保険者であった場合です。

夫の標準報酬総額を、2億円とします。(妻はずっと第3号被保険者であったとして、0円とします。)
夫婦が按分割合を1/2で合意したとすると、

(2億円+0円)×1/2=1億円

となります。

夫婦とも会社員だった場合

婚姻期間中共働きで、夫婦とも国民年金の第2号被保険者であった場合です。

夫の標準報酬総額を2億円、妻の標準報酬総額を1億円とします。
夫婦が按分割合を1/2で合意したとすると、

(2億円+1億円)×1/2=1億5千万円

となります。