公正証書の離婚協議書

離婚についての合意内容を、口約束ではなく書面にすることは最低限必要なことです。

しかし、慰謝料や養育費が相手から支払われなかったときには、訴訟を起こさないと無理ということになりかねません。
(私製の書面だけでは、強制執行することができないからです。)

金銭の支払いが合意内容にある場合は、公正証書を作成してもらうのが安心です。
公正証書は法務大臣から任命された法律の専門家である公証人が作成しますので、法律的な矛盾をチェックしてもらえるというメリットもあります。

ところで、公正証書で離婚協議書を作成するときは、大事なポイントがあります。

それは、文面の中に「支払われなかった場合にはただちに強制執行に服する」旨の内容を、記載してもらうことです。
(これを、強制執行認諾約款(条項)といいます。)

これを記載することで、訴訟を起こさなくても強制執行が可能となるのです。

公正証書を作成してもらうには、自動車運転免許証、戸籍謄本、印鑑やお金(手数料)などを持参して、公証役場へ行く必要があります(文面や手数料について、事前に打ち合わせをするのが一般的です。)が、代理人に行ってもらうことも可能です。

行政書士であれば、公証人との打ち合わせから作成された公正証書の受け取りまで、業務として行うことができます。

私製の離婚協議書

離婚届を提出する前にさまざまな取り決めを行っても、口頭での約束だけでは何の根拠にもならない場合があります。
相手方が約束を守ってくれないときには、取り決めが有効に成立していることを裁判で求めなければなりません。(これは、とても大変なことです。)

ですから、取り決めの内容を書面にすることは、最低限行うべきことなのです。(強制執行のことを考えると、私製の書面ではなく、強制執行認諾約款(条項)付の公正証書が一番良いことを強調いたします。)

以下に、私製の離婚協議書の一例を記載しました。
(離婚協議書というのはこのような物ですよ、という意味合いですので、あくまでも参考としてご覧ください。)

離婚にともなう契約書

○○○○(以下「甲」という)と○○○○(以下「乙」という)は、本日、下記の通り合意した。

第1条 甲と乙は、離婚することを合意し、離婚届に各自署名押印した。離婚届は、乙が速やかに提出する。

第2条 甲乙間の長女(平成○○年○○月○○日生まれ。以下「丙」という)の親権者・監護者は、乙とする。

第3条 甲は乙に対し、丙の養育費として、平成○○年○○月から丙が大学を卒業した年の属する3月まで、毎月末日限り金○万円を、送金する。

第4条 甲は乙に対し、慰謝料として金○○万円を、平成○○年○○月○○日に支払う。

第5条 甲は毎月1回面接交渉(面会交流)をすることができるが、日時、場所については、事前に甲と乙で協議して決定する。

第6条 甲と乙は、本契約に定めた以外には、相手方に何らの請求をしない。

第7条 本契約は、甲乙それぞれが再婚した場合にも、継続する。

本契約の証として本書2通を作成し、各自1通を保管する。

平成○○年○○月○○日

甲 住所 ○○○○○○○

氏名 ○○○○ 印

乙 住所 ○○○○○○○

氏名 ○○○○ 印

離婚協議書(合意書)とは?

離婚協議書(合意書)とは、離婚届を提出する前に夫婦間で話し合い、合意した内容を書面にしたものです。
一般的には、離婚すること、未成年の子どもの親権・養育費・面接交渉、財産分与、慰謝料といった内容についての取り決めを、記載します。

「書面を作ることが面倒だ。」とか「わざわざ書面にしなくても、お互いが約束を守ればいいだろう。」とお考えの方もいらっしゃるでしょうが、「書面を作成すべきだ。」と申し上げます。

口約束だけで大丈夫?

夫婦間で話し合い、合意した内容は、口約束であっても法律上は有効です。
しかし、相手が守らなかった場合は、どうなるでしょうか?

例えば、「養育費として毎月5万円支払う。」という口約束が守られなくなったとします。
毎月の5万円は、子どもにとって大切なお金です。

支払い義務のある相手に請求しても、相手が「そんな約束はしていない。」という態度をとった場合、支払いを確保するには、最悪、裁判を起こす必要があります。

ただ、訴訟においても口約束だけでは、支払い義務についての証拠が何もありません。
とても困難な状況となるのは、明白なのです。

書面を作成しましょう

書面である離婚協議書があれば、訴訟での証拠となります。

いかがですか?離婚協議書を作成する意味が、ご理解いただけたと思います。

離婚後に養育費の支払いを拒む人は、跡を絶たないのが現状です。
子どもの養育費という重大な内容を、口約束だけで取り決めとするのは、とても危険なことなのです。

口約束で言った言わないの水掛け論に終わらないために、ぜひ、離婚協議書を作成してください。